男性型脱毛症 (AGA)
◇AGA治療について (2011.07改訂版)
額部あるいは頭頂部から髪の毛が薄くなっていく,いわゆる男性型脱毛症(AGA)の発症には男性ホルモンが大きく作用していることはよく知られています.
男性ホルモンのうち,おもに精巣で作られるテストステロンが皮膚に移動し,5α-リダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン (DHT)という物質に変換されます.このDHTが,毛包の毛を作っている部分に作用して,毛を薄くしてしまい,最終的に毛包を消失させてしまうといわれています.
現在のところ,世界的に効果と安全性が認められている代表的薬剤が,経口薬フィナステリド(商品名プロペシア)と,外用薬ミノキシジルです.
フィナステリド(商品名プロペシア)
2005年に国内で認可された内服薬プロペシア(商品名.一般名はフィナステリド)は先に述べた5α-リダクターゼの作用を抑えることでAGAの進行を抑制します.
治療効果
国内で3年間内服をしたデータが発表されております.結果は下記の通りです.
頭頂部
1年後・・・改善58.3%(著明改善1.5% 中等度改善 9.1% 軽度改善47.7%),不変40.2%,
進行(悪化)1.5%
3年後・・・改善77.8%(著明改善6.1% 中等度改善37.4% 軽度改善34.3%),不変20.2%,
進行(悪化)2.0%
前頭部
1年後・・・改善57.8%(著明改善0.8% 中等度改善10.8% 軽度改善46.2%),不変40.2%,
進行(悪化)2.3%
3年後・・・改善71.7%(著明改善2.0% 中等度改善32.3% 軽度改善37.4%),不変25.3%,
進行(悪化)3.0%
結果からわかるように,プロペシアを内服することで1年後には6割弱,3年後には7割以上の方で改善していることがわかります.特に注目すべきことは進行した方が2〜3%しかいないことです.つまり,本来は進行していくはずの男性型脱毛症のほとんどの例で進行を止めることができているといえます.この薬剤は発毛・育毛に働いていることはもちろんですが,進行を止めるのが1番の長所といえるでしょう.
副作用
臨床治験(1年間)では,軽微な副作用の発現率は5.1%で,内容は性欲減退など生殖器系が2.5%,胃部不快などの消化器症状 1.1%, 臨床検査値異常 0.7%,その他0.7%と なっています.しかし,発売から数年経った現在,肝機能障害の報告が数例出ております.確率は低い(2万人に1人程度)ですが,長期内服になることが多いので,半年〜1年に1度は血液検査(通常の健康診断の採血でもいいです)を受けた方がよいと思います.
ミノキシジル+アゼライン酸(商品名NR-08 )
ミノキシジルは,もとは血圧の薬として開発されました.血管拡張作用により,血圧を下げるわけですが,この薬剤を頭皮に外用することで頭皮の血行が促進し,毛根に刺激を与えることで毛母細胞が活性化されるため,結果的に発毛・育毛効果を持つと考えられています.日本では5%製剤 (リアップX5)が2009年にようやく発売開始されましたが,海外では以前から同じ5%濃度のロゲインが標準的な薬剤でした.
また、最近はアゼライン酸という麦などに含まれる酸がフィナステリドのように5α-リダクターゼを抑制することが証明されました.当院では7%ミノキシジルと5%アゼライン酸を含有したNR-08を処方しております.
以下にロゲインでの治療効果のデータを示します。
治療効果
ロゲイン(5%製剤)を16週間,1日2回使用したところ,85%の方で発毛が促進されたとのデータが欧米で示されております(著明改善26%,中等度改善26%,やや改善33%).
副作用
副作用の発現率はおよそ2-3%で,ほとんどが塗布部位の接触皮膚炎(かぶれ)です.重篤な副作用はほとんどありませんが,高齢の方や高齢の方や高血圧あるいは低血圧の方,心臓に問題のある方は注意が必要です. 定期的に血圧を測定し、血圧の変動(低下)が激しい場合や、動悸がしたり、胸が痛くなるようでしたら直ちに使用をやめてください.
治療コース
現時点で理想的な治療法は,フィナステリド(プロペシア)の内服とミノキシジルの外用を組み合わせた治療です.欧米ではこの両者の併用療法でかなりよい治療効果があることが報告されています.理由として,この両者の作用機序が違うこと,つまりフィナステリドは男性ホルモンの作用を阻害することで脱毛を抑え,ミノキシジルは頭皮の血流を改善させることで発毛・育毛を促すことが考えられています.したがって,ある程度進行している方,とくに頭頂部に脱毛が 目立つ方は両薬剤の併用をおすすめします.逆にあまり脱毛が進行していない方であれば,予防的治療としてフィナステリドの内服だけで十分であると思います.
当院ではこれまで,プロペシアとミノキシジル外用剤の併用療法を多数の患者様に受けていただき,大変良好な治療成績を収めております.現在は6%濃度のミノキシジルプラスの処方を行っております.
プロペシアとミノキシジル外用薬の併用療法はとくに頭頂部の抜け毛が多い方に是非お勧めします.
治療費(健康保険は適用されません)
プロペシア内服のみ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1ヶ月 10,000円(税別)
NR-08(ミノキシジル+アゼライン酸) 外用のみ・・・・ 1ヶ月 8,000円(税別)
プロペシア内服+NR-08外用・・・・・・・・・・・・ 1ヶ月 17,000円(税別)
* 治療費は診察料込みですが,消費税が別途かかります.
* 血液検査(血算,生化学検査)を受けられる場合は,1回につき別途3000円(税別)かかります.









